伝える順番の心理学、初頭効果と親近効果ってどっちが強い?

最終更新日:2025年6月24日

  • 初頭効果:第一印象が大事!っていうやつ
  • 親近効果:終わり良ければ総て良し!っていうやつ

はい、今回は恋愛心理テクニック講座として伝える順番の心理学である初頭効果と親近効果ってどっちが強いの?について紹介していきますね。

「初頭効果」とは最初に伝えられた内容の方がより強く記憶に残る、っていうやつでいわゆる第一印象が大事!と同じことを言ってます。

反対に「親近効果」とは、一番最後に伝えられた内容をより強く覚えている、っていうやつでいわゆる終わり良ければ総て良し!と同じことを言ってます。

…こんなふうに完全に真逆な事を言わちゃうと、そういう心理テクニックがあると知ったとしてもどっちを使えばいいのかわかんないですよね。

結論:どっちが強い!とかはない

結論から先に。

初頭効果と親近効果にどっちが強いとかはないんです。

で、それだと余計にどっち使えばいいのかわからない…、となっちゃって、答えになってないので使い方の話に進みますね。そうなんです。どっちが強いとかじゃなく、この場合は初頭効果を使って、こっちのケースでは親近効果を使って…、というふうに使い分けが大事なんです。

初頭効果と親近効果は…、

  • どっちが強いとかはない
  • それぞれ適したタイミングで使うのが大事!

親近効果を使うタイミングの具体例

んじゃ初頭効果と親近効果どっちをいつ使ったら効果的なのかっていう恋愛においての具体的なケースをそれぞれ見ていきますね。

わかりやすくするために親近効果の具体例から。

親近効果:会話の中で何かを選ばせる時

基本これと次に紹介するケースの2つだけ抑えてもらってたらOK。

親近効果が力を発揮するタイミングは実際に会ってとか通話とかで「相手に何かを選ばせるとき」です。「AかBかどっち?」みたいな。注意点はメールやメッセージだとあんまり親近効果の力が出ないという点(理由は後述)。

デート先やごはん屋などなど、何かを相手に選ばせることって多いですよね。そういう時はあなたが「こっちを選んで欲しいなー!」と思ってる本命の選択肢を最後に持ってきてください。

シンプルだけどその方が相手の記憶に残りやすく、選んでもらえやすいのです。

さっきも言いましたが注意点は通話や実際会っての会話の方が効果を実感しやすいです。メールやメッセみたいにじっくり考える時間ができちゃうと普通にどっちがいいか考えることができちゃうんですね。

こんなふうに親近効果はテンポのいい会話でごまかしてる感があります。

親近効果:欠点を伝える時

借金があるとか実はプチ整形してて…、とか恋愛だと仲が深まるにつれいつかは伝えないといけない自分の欠点ってありますよね。

こういう時も親近効果がおすすめ。

  1. 実は借金があって、でも最近昇進が決まったんだ
  2. 昇進が決まったんだけど、実は借金があって

たぶんですが皆さん上の方がポジティブに借金の事実を聞けたと思います。

最後に聞いた情報が「昇進」なのかはたまた「借金」なのかでずいぶん印象が違いますよね。最後に聞いた方の印象がガツンと印象に残ると思います。

こんなふうに自分の欠点をできるだけマイルドに相手に伝える時はぜひ親近効果を使って、「欠点」⇒「長所」の順番で伝えてみてください。

親近効果はある程度勢いが大事

上でも親近効果が強く効果を発揮するにはメールとかメッセージとかだと難しく、会話や通話の方がいい、と書きました。

結局親近効果は相手の記憶力があんまり働いていない、というか勢いで会話してるときに一番効果が出るんです。

テンポよく会話してるときってあんまり脳が動いていないですよね、話に夢中で。あの時に使うと効果を発揮するのが親近効果なんだ!と思ってもらえればオッケーです。

あとは意図的に相手の記憶力をパンパンにさせる、例えばものすごい大量の選択肢を「AとBどっちがいい?それともC、…いやDかな、あ、Eもいいよね!」みたいな。そうするとEしか相手の頭に残らないんでEの印象が強くなります。

初頭効果を使うタイミングの具体例

親近効果を恋愛で使う際の具体例は見ました。結局会話や通話など、ある程度リアルタイムなやり取りで相手の脳が動いていない時、くわしく吟味して結論を出せないときに、何かを選ばせる、それから欠点を伝える時に使えるのが親近効果ってコトでした。

では続いて初頭効果を恋愛で使う際の具体的なシチュエーションを見ていきますね。

初頭効果:初対面のとき

人間第一印象が大事!とよく言われますが、それがもうもろにこの初頭効果、ですよね。

実際、初対面の時の印象って後々までずーっと残り続けますし、初対面の時なんか馬が合わないな、とか苦手だな、と感じちゃうとそのあとは「単純接触効果」という、相手に対して持っている感情がその人と会うたびに強くなっていく、という効果も相まってどんどん苦手になってしまったり、しまいには嫌いという感情にまで発展しちゃうことも。

なので恋愛では特に初対面を大事に!してください。

具体的には身だしなみ、笑顔、はきはきと話す、など。…いわば普通のコミュニケーションで重要なものはきちんと一通り押さえて初対面での印象度アップを狙っていきましょう。

初頭効果:イメージさせるとき

何かを相手にイメージさせる際も初頭効果が効果的。

恋愛でいうと、例えばまだ実際に会ってはいないけれどマッチングアプリでプロフィールを読んでもらう際などに初頭効果が強く発揮されます。

マッチングアプリなどで相手のプロフィールを読むときって「へー、映画鑑賞が趣味なんだ、あ、それに料理も好きなのか」みたいにイメージを膨らませていきますよね。

で、イメージするときってさっきの親近効果とは違って、一番最初に書かれてる事柄から順番にその人の人となりをイメージしていきますよね。いきなりプロフィールの一番最後から読んで「へー、こんな人なのかな」っていう人はいないはずです。まず、ドンっと、最初に書かれてる内容で相手の全体像をイメージして、そこに新しいイメージをぺたぺた張り付けていく感じだと思います。

「あ、長女なんだ、ならお姉ちゃん気質なのかな」「次のプロフィールは、っと。へー、女子大卒なのか。ならお姉ちゃん気質のお嬢様なのかな」という風に、最初から順番にイメージしていきますよね。

なのでプロフィールの最初の部分にもっとも印象のいい趣味なり人柄だったりを書いておくことでその印象がより強まるんです。まずそのイメージからスタートするわけですから。

あまりいないとは思いますが「私は依存度高めです」というのをマッチングアプリのプロフィール冒頭に書いた場合、その後に「妹が3人いて今も世話焼きぐせが直りません」みたいな感じで包容力アピールをしても、プロフィールを読んでる側からするとその包容力アピールはあんまり届かないかもしれません。

恋愛で初頭効果は、

  1. 初対面の時
  2. マッチングアプリなどのプロフィール文作成時

で意識して使うととても効果的!

講座:初頭効果と親近効果について

ここから下は初頭効果と親近効果についてその由来や行われた実験など、そういった心理テクニックの裏付け部分を紹介してますので、読みたい方だけ読んでみてくださいね。

系列位置効果

初頭効果と親近効果も「系列位置効果」という、伝える順番に関する心理テクニックの中の2つなんです。

上では恋愛についてみてみましたが、たとえば折込チラシの商品の順番とかそういうのにも使われてたりします。

初頭効果の実験

初頭効果の実験としては、そもそもこの初頭効果の生みの親?であるアッシュさんという印象形成の研究をされていた心理学者が行った実験が有名です。

架空の人物を思い浮かべてもらう、という実験で、

  1. 「知的、勤勉、衝動的、批判的、頑固、嫉妬深い」と良い印象から順番に人柄をイメージしてもらうケース
  2. 「嫉妬深い、頑固、批判的、衝動的、勤勉、知的」と悪い印象から順番に人柄をイメージしてもらうケース

で、実験の結果は、①の順番でイメージしてもらった方が「いい人」というポジティブな印象を持ちやすく、②の方はネガティブな印象になったんですね。

さきほどマッチングアプリのプロフィール文のところで見たのとほぼ同じような感じです。こんな風に相手にイメージさせる際は初頭効果が強く効果を発揮するんですね。

親近効果の実験

親近効果の実験としては、ノーマン・アンダーソンさんというアメリカの心理学者が行った模擬裁判の実験が有名で、

  1. 弁護側が6個、検事側も6個それぞれ有利になる証言が言える
  2. 弁護側が2個証言し、検事側が2個証言…という風にラストが検事側になるようにしたケース
  3. 弁護側が一気に6個証言、次に検事側が6個証言…という風にラストが検事側になるようにしたケース

実験の結果は、どっちの場合でも「最後に証言した検事側が有利」と陪審員として参加していた被験者は感じた、というものでした。

ようは覚えていられないんですよね、そんな何個も証言を聞かされても。全部で12個です。最初の方の証言なんてほぼ覚えてないんじゃないでしょうか。

だから脳がパンパンになっちゃって結局一番最後に聞いた証言の印象が大きくなって、結果それをもとに陪審員の人は判断することになった、という感じです。

これも上で見たたくさんの選択肢をあえて与えて、相手の判断力をパンクさせて最後に言った情報の印象を強める、とほぼ同じですよね。