恋愛心理テクニック講座、今回はローボールテクニックという心理テクニックについて紹介します。
最初にザクっと書いておくとローボールテクニックとは、後から不利な条件を出されても「しょうがないか」と受け入れやすくなる、という心理のコト。
恋愛で言うなら付き合った後に「実は妻子がいて…」と言われたり、告白OKした後から「実は借金が…」と明かされるようなのがローボールテクニックです。
使用タイミング
- 自分の欠点を出来るだけマイルドに伝える
- デートに誘う
ローボールテクニックは自分の欠点をできるだけマイルドに伝える時に使う恋愛心理テクニック。恋愛というよりコミュニケーション全般の話、かもですね。
- サクッと整理!
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ローボールテクニックとは
ローボールテクニックとは、上でもザクっと書きましたが、一度何かを決めた後にその決めた内容に対して不利な条件を出されても「まー、もう一度考え直すのめんどくさいし、しょうがないか…」とあきらめつつ了承してしまう心理です。
後から妻が~、子供が~、借金が~、という衝撃の事実が発覚!なやつです。でももう付き合っちゃったからしょうがないか…、となる人、なった人いると思いますし、反対に最初から奥さん子供がいる事や借金持ちであることを知っていたら付き合わなかったんじゃないかと思います。
結局ローボールテクニックは「不利な条件は後出ししよう!」というコトになります。…なんだか詐欺みたいで良心が痛みますが、ローボールテクニックはそういう恋愛心理テクニックです。
ローボールテクニックの技術的な話
ローボールテクニックは心理学的には一貫性の原理、それからコミットメントという二つの土台からできてます。
- 一貫性の原理:一度決めた事を変えたがらない人間の無意識の心理
- コミットメント:自分の意志で決めた、という事実
さっきの不倫や借金の話に当てはめると「え、借金あるの?えー、まじかー。でももうOKしちゃったしなー(一貫性の原理)、んで自分の意志で告白OKしたからなー(コミットメント)」というコト。自分で決断したからこそ今更やっぱ「付き合うのナシで!」と言いづらくなるんです。
一貫性の原理やコミットメントに関しては下の記事でもっとくわしく書いてあるのであわせて読んでみてくださいね。
恋愛心理テクニック「ローボールテクニック」の具体例
ローボールテクニックについてくわしく見たところで、ローボールテクニックの具体的な例を見てみましょう。
例:「欠点をマイルドに伝える」シチュエーション
- あなた:実は借金があるんだ…
- 相手:え、そうなの…
- あなた:うん、想いを伝える前にきちんと話しておかなくちゃと思って
- 相手:う、うん
- あなた:付き合ってほしい
- 相手:…ちょっとだけ考えさせて
- あなた:付き合ってほしい
- 相手:うん、わかった
- 【1か月後】
- あなた:実は借金があって…
- 相手:え、そうなの…(でももう1か月も付き合っちゃったし今更別れるのもなぁ…)
上がローボールテクニックを使わずに欠点(借金の事実)を伝えたパターンで下がローボールテクニックを使って欠点を伝えたパターンです。
…明らかに上の例の方が誠実でその人柄に好感を持てるんですが、心理学的に上手くいくのはだましたような形の下の具体例、なんです。一貫性の原理とか書いてますが、こういうときの心境ってたぶん私も皆さんもすごいイメージしやすいと思うんですよね。
「えー、まじか…、でももう一度、彼氏作りなおしたりするのめんどいし、もういいや…」というあきらめの感情だと思うんです。いい気持ちじゃないですよね。なのでできるだけローボールテクニックは使わないのがおすすめです。どうしても薄めたい欠点がある場合だけ、ここぞという時だけ使うようにしてみてください。
ただまー結局恋愛、というかコミュニケーション全般に言えるのは第一印象や最初の印象を出来るだけよく見せるのが重要、というコト。
例えばマッチングアプリなどでのやり取りやプロフィール文、そういう知り合って間もない相手に対して自分の欠点をあえてどんどん伝えていくのは心理学的にNGと言えます。
- Tips
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上ではとにかく最初は欠点を言わないのがいい!と書きました。
それはその通りなんですが、欠点と同じくらいの長所を伝えられる場合は「欠点」⇒「長所」の順番で伝えることでさらに欠点をマイルドにできます。
- あなた:実は借金があって、でも本を執筆してるからその印税があるんだ
- 相手:印税?すごい!
これは人間は後に聞いたり見たりした方の事柄の印象がより強く残りやすいため。例えば、
- あなた:実は本を執筆してるからその印税があるんだけど、でも借金がある
- 相手:え、借金あるの…?
たぶんあなたもこの例の「相手」と同じように感じたと思います。なので欠点と長所を並べて伝えられるときは長所を後にしてみてくださいね。
ローボールテクニックを使うのが相手をだますみたいというか詐欺に感じてしまい、どうしてもできない心の優しい人は、こちらの、伝え方の順番を変えて欠点をマイルドにする方法の方がおすすめかもしれません。
例:「デートに誘う」シチュエーション
- あなた:今度サークルの同期3人でごはん行こうよ
- 相手:うん、いいよ
- あなた:おっけー、○日の19時から予約しといた。んじゃあいつにも連絡しとくね
- 相手:○日の19時ね。わかった
- 【後日】
- あなた:○日のごはんだけど、あいつ急にバイト入って無理ってさっき連絡があって…
- 相手:そうなんだ
- あなた:予約しちゃってるからな…
- 相手:しょうがないね2人で行こう(断りづらい…)
デートに誘う際もローボールテクニックは使えてるんですが、具体例を見てもらえればわかるようにやっぱり心優しい人には「もはや詐欺じゃないか」と感じられてしまうかもしれません…。それくらいローボールテクニックって悪質な面が大きいですよね。
ただどうしても好きで好きでたまらない片思いの人がいて、でも食事に2人きりで誘ったらほぼほぼ来てくれない、という時、そんなどうしようもないときに何とか2人きりの食事の席をセッティングするところまではもっていける、ローボールテクニックという恋愛テクニックがある、というのは頭の片隅においていてもいいかもしれません。
そうすることで反対にあなたが誰かにローボールテクニックを仕掛けられたときに気づけるようにもなります。
講座:ローボールテクニックについて
ここから下はローボールテクニックについてその由来や行われた実験など、そういった心理テクニックの裏付け部分を紹介してますので、読みたい方だけ読んでみてくださいね。
ローボールテクニックの由来
ローボールテクニックの由来は、キャッチボールで最初は低いボールからだんだん高いボールにしていけばキャッチしやすい、というのが由来です。
こんな詐欺みたいな爽やかさのかけらもない恋愛心理テクニックなのに由来はものすごい爽やかなんですよね…。
ローボールテクニックの実験
ローボールテクニックの実験としては、「影響力の武器」というとても売れた実践心理学の本の著者であるロバート・チャルディーニさんが行った実験が有名です。「チャルディーニさん自身の受け持つ生徒に明日7時からの実験への参加を頼む」という実験で、こんな感じ。
- 「明日7時からの実験に協力してよ」と頼むケース
- 「実験に協力してよ」と頼んでから「明日の7時からなんだけどいい?」と聞くケース
で、実験の結果は、最初から①の「7時からだよ」と伝えた場合が30%がOKし、②の後から「7時からなんだけど」と伝えた(ローボールテクニックを使った)場合が56%でした。
たぶん自分がコレを聞かれてどう答えるか、というのがありありと皆さんの中でイメージできてたと思いますし、実験結果としてもそれを反映した結果に感じるのではと思います。
ただ、ローボールテクニックは多用するとたぶん信用なくなると思いますし、「この人の頼み事はいつも裏があるぞ」と思われてしまうと、それって恋愛では大きなデメリット。
本当にどうしようもない時にだけローボールテクニックを使うようにしてみてくださいね。